1 虚偽の求人広告を出すと罰せられる

職業安定法第42条では「新聞、雑誌、その他の刊行物に掲載する広告(中略)により労働者の募集をおこなう者は、労働者の適切な職業選択に資するため、第5条の3(労働条件等の明示)の規定により、従事すべき業務の内容等を明示するに当たっては、労働者に誤解を生じさせることのないよう平易な表現を用いる等、適格な表示に努めなければならない。」と定めています。
また、第65条第8号では、「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給をおこなった者又はこれらに従事した者は、これを6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」としています。

2 年齢を限定しての募集はできない

雇用対策法第10条 年齢制限は原則禁止され、労働者を募集・採用するときは、年齢にかかわりなく、均等な機会を与えなければならない。
例外的に年齢制限が認められる以下の場合は、その理由を書面や電子媒体により示されなければなりません。

① 定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
② 労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合
③ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の
対象として募集・採用する場合
④ 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定
の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
⑤ 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合
⑥ 60才以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施設を活用しようと
する場合に限る。)の対象となる者に限定して募集・採用する場合
* ①③④の例外事由が適用されるためには、雇用期間の定めがないなど要件に該当す
ることが必要です。

3 同じ広告を他社のメディアで使えますか

著作権法では「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は著作物に該当しない」としています。もし、求人広告が単に労働条件を並べただけのものであれば著作物とはいえないでしょう。
しかし、写真やイラスト、工夫を凝らした文章などから構成される場合、求人広告であっても、その一つひとつに著作権が生じる可能性があります。
たとえ、制作者に制作料を支払っていても、著作物はあくまで制作者側にあると考えられます。
したがって、他に流用したいのであれば、その広告全体をまとめた会社や制作者、原作者に使用許可を求めることが必要です。
また、漫画のキャラクターやスポーツチームのマークなどは、著作権法のほか、商標法、不正競争防止法などにより保護されていますので、勝手に使うことができません。
新聞記事にもほとんどの場合、著作権があります。自社を取り上げた新聞記事などを求人広告に掲載したいときは、新聞社の許諾が必要です。

4 出来高制の仕事をさせる場合の募集

社員という場合には、雇用契約を結び期間を定めずに働く労働者を言う場合が一般的です。
請負、委任などの形態をとっているような場合に、しばしば労働者性の有無が争われているようなケースが生じているようですので、契約の際は必ず書面を交わすことが必要です。
また、求人広告を出す際には、出来高性によって支払われる報酬を「給与」と表記するなど、誤解を招きやすい表現は避けるよう配慮してください。
完全出来払制の募集であっても、求人広告に「社員募集」とあれば、応募者は御社の労働者として採用されるものと期待すると思われますので注意が必要です。

応募・採用に当たって

1 応募者も企業を見ている

電話は、お互いに相手がどのような状況で話しているかがわからず、声だけの印象にとらわれがちになります。選考する側も応募者も相手の電話対応によって悪いイメージを作り出してしまうかもしれません。応募の電話に対しては、どんな場合にも丁寧に受け、必要事項を要領よく簡潔に説明、返答することが必要です。そのために、求人広告を出したら、応募電話に対応する担当者を決めておきましょう。担当者は、募集条件(求人広告内容)、面接日時、場所、応募方法などの必要事項を把握し、また、想定される問合せへの対応も準備しておいてください。
すでに、採用が決まった場合でも、面倒がらずに「ご応募ありがとうございます。せっかくお電話をいただきましたが、決まってしまいました。」と丁寧にお断りください。曖昧な回答をしてトラブルになることも稀ではありません。担当者不在の場合の対応を決めておくことも重要です。
不採用になった人も、いつ御社のお客様(消費者)となるかもわかりません。
このことも念頭において対応してください。

2 求人サイトや自社ホームページで募集するとき

☆ キーワード検索でヒットさせる
求職者がキーワードで求人企業を検索する場合、職務内容や会社のプロフィール等を詳細に掲載することにより、ヒットする確立が高くなります。募集する背景や社内の様子、募集職種に必要な業務経験や必要なスキル、資格、能力など「求める人材像を明確」にして、仕事内容や労働条件を「正確で詳細に」掲載することは、検索キーワードを設定する際にも、非常に有効となるはずです。

☆ 自社ホームページだからこそ誤解を与えない表示を
求人企業が、自社ホームページに採用情報を掲載する場合も、求人メディアに掲載するときと同様に、給与や勤務時間などの労働条件を明示すること、誤解を与えない表示にすることが求められます。不適切な労働条件などを明示することで、会社のイメージが損なわれては元も子もありません。

☆ 採用が終了したらすぐに更新
採用を終了したり、募集職種や労働条件の変更等があった場合は、速やかに自社の採用ページを更新するようにしてください。
自社のホームページの求人情報が、まったく知らないうちに他のサイトに、リンクを張られてしまうという可能性もあります。そのようなサイトの中には情報の更新が頻繁におこなわれない場合もあり、採用が終了した後もリンクが張られたままになっていることがありますので、十分注意してください。

3 未成年者を募集するとき

未成年者とは20歳未満の者をいいますが、法律では、15歳(の年度末)までの者を児童、18歳未満の者を年少者、20歳未満の者を未成年者としています。
事業主は、満18歳までの者を雇う場合には、事業場に戸籍証明書(住民票記載事項証明書でよい)を備え付ける必要があります(労基法第75条)
また、15歳に達した日以降の最初の3月31日が終了するまでの児童は原則として雇用することができません。例外的雇うときは、労基署の許可を受ける必要があります。

☆ 未成年者を雇うときの注意
① 親権者又は後見人が、未成年者に代わって労働契約を締結することはできません。(労基法第58条)
② 未成年者の賃金は必ず本人に支払わなければなりません。(労基法第59条)
③ 原則として年少者の時間外労働、休日労働、変形労働時間による労働をさせてはいけません。(労基法第60条)
④ 危険有害業務、酒席に侍する業務などの就業は禁止されています。(労基法第62条)

☆ 年少者の深夜労働の禁止
年少者に関する深夜労働については、労基法第61条で「使用者は、満18歳に満たない者を、午後10時から午前5時までの間において使用してはならない」と定めてあり、パート、正社員の区分なく適用されます。
しかし、1.交代制で使用する満16歳以上男子または、2.交代制で操業する事業所で労基署の許可を受けた場合については年少者の深夜労働(ただし午後10時30分まで)が可能です。

4 外国人・留学生を雇うときは在留資格の確認を

外国人の方が、就労を認められるかどうかは、入管法に基づく在留資格(27種類)に応じて定められています。
したがって、留・就学生を雇おうとする場合は、「外国人登録証明書」「旅券面(パスポート)の上陸許可」「在留資格変更許可」「在留期間更新許可証印または就労資格証明書」などにより、資格外活動の許可を受けているかどうかを確認する必要があります。

現在、在留資格は27種類ありますが、就労の可否に着目すると次の3種類に分けられます。
(1) 在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格17種類
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、特定活動(ワーキングホリデー、技能実習生等)
(2) 原則として就労が認められない在留資格 6種類
文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在
「留学」、「就学」及び「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人の方がアルバイト等の就労活動を行う場合には、地方入国管理局で資格外活動の許可を受けることが必要です。
また、就労の内容、就労場所等について個別に審査を受けた上で資格外活動の許可を得れば「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人の方については、原則として1週28時間まで就労することが可能となります。
(3) 就労活動に制限がない在留資格 4種類
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
日系2世、3世の方は、「日本人の配偶者等」又は「定住者」として在留する場合に限り、就労活動に制限はありません。「短期滞在」の在留資格により在留している日系人の方は、地方入国管理局において在留資格の変更の許可を受けないと就労できません。

5 内定取り消しは解雇に等しい

採用内定はその実態にもよるので、法律的性格を一義的にいう事は困難です。しかし、採用内定通知が労働契約の意思表示と見られる場合は、その段階で雇用契約は成立しており、内定取り消しは就労の有無を問わず解雇(労基法第20条)に相当すると考えられます。

☆ 内定辞退の申出があった場合
内定者が入社を承知した後に辞退した場合は、単なる労働契約の解約と考えられます。
民法第627条では、労働契約解約の意思表示をした日から2週間たてば解約は成立す
るとしている。

☆ 内定者でも社員と同等の地位がある
最高裁で争われた裁判で争われた裁判では、会社側が入社誓約書を受領した時点で労
働契約が成立したという考え方を示しています。同時に、内定者の地位についても「就労
の有無という違いはあるが、採用内定者の地位は、一定の使用期間を付して雇用関係に入
った者の使用期間中の地位と基本的に異なるところはない」としています。内定者といっ
ても、ほとんど社員と同等の地位がありますので、内定を取り消すことは解雇に等しいと
考えます。

6 身元保証人の責任の範囲

労働者が労働契約に基づく仕事をしなかったり、売上金の着服などによって使用者が被った経済的損害を確実に支払わせるために、使用者が労働者のための保証人をあらかじめ立てておくことがあります。この保証人と使用者の関係で結ばれるのが「身元保証契約」です。
この身元保証契約は労働契約とは別個のものであり、労働契約に当たって必ず締結しなければならないものではありません。保証人と使用者の間で任意で決める契約であり、あくまで損害賠償の保証であって、それ以外の保証には及びません。現実的には、店舗のレジスターや会計・経理業務等、金銭問題の起こりえるような仕事につく場合が中心になるようです。

採用したら

1 労働条件の明示

使用者が労働者を使用するときは、賃金、労働時間その他労働条件を書面などで明示しなければなりません
明示された労働条件と事実が相違している場合には、労働者は即時に労働契約を解除することができます。
就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合には、使用者は必要な旅費を負担しなければならない。

労働契約締結時に明示しなければならない労働条件は、以下のとおりです。
1.~7.は必ず明示しなければならない事項、8.~15.は制度を設ける場合には必ず明示しなければならない事項です。
さらに、1.~6.については必ず書面の交付によって明示しなければなりません。
2の「更新する場合の基準」に関する事項は、必ず書面の交付によって明示しなければならない労働条件となり、この明示義務に違反すると、罰則の対象となります。
1. 労働契約の期間に関する事項
2. 有期労働契約を更新する場合の基準
3. 就業の場所、従事する業務の内容
4. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働(早出、残業など)の有無、休憩時間、休日、休暇および交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
5. 賃金の決定、計算・支払いの方法および賃金の締切り・支払いの時期に関する事項
6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
7. 昇給に関する事項
8. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法および支払いの時期に関する事項
9. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
10. 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
11. 安全・衛生に関する事項
12. 職業訓練に関する事項
13. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
14. 表彰、制裁に関する事項
15. 休職に関する事項
パート労働法では、上記の事項に加え「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」を文書の交付等によって明示しなければならないと定めています。

2 就業規則は職場の法律

常時10人以上の従業員を雇っている事業所では就業規則を作り、作業場の見やすい場への掲示・備え付け、従業員に交付するのどして、周知させなくてはなりません。

まず、就業規則を作成する場合、必ず記載しなければならない絶対的記載事項と会社に定めがある場合に記載しなければならない相対的記載事項があります。

☆ 絶対的記載事項とは具体的に、
(1)始業及び終業の時間、休日、休暇ならびに労働者を2組以上に分けて交替に就業させ
る場合の就業転換に関する事項
(2)賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支
払い時期並びに昇給に関する事項
(3)退職(解雇事由含む)に関する事項(退職手当を除く)

☆ 相対的記載事項とは、会社内に定めがある場合に必ず記載しなければならに項目で
す。逆に言えば、定めがなければ記載する必要はありません。
具体的には、以下の項目が相対的記載事項となります。
(1)退職手当に関する事項(適用者の範囲、退職手当の決定、計算、支払の方法・時期)
(2)賞与等・最低賃金額について定める場合には、これに関する事項
(3)食費・作業用品等を負担させる場合には、これに関する事項
(4)安全・衛生に関する事項について定める場合には、これに関する事項
(5)職業訓練に関する事項について定める場合には、これに関する事項
(6)災害補償・業務外の傷病扶助について定める場合には、これに関する事項
(7)表彰・制裁について定める場合には、これに関する事項
(8)上記のほか、当該事業場の全労働者に適用される事項について定める場合には、これ
に関する事項

3 一度雇ったら簡単に解雇できない

解雇する場合は、まず、解雇の理由が正当であるかどうかを判断しなければなりません。
労働契約法第16条では、「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と定められています。

☆ 解雇には、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇があります。
(1)整理解雇とは、事業の縮小など経営上の理由で行うもの
(2)懲戒解雇とは、服務規律違反など、経営秩序に反した労働者に対する制裁として行
うもの
(3)普通解雇とは、(2)(3)以外の理由で、労働契約を維持していくことが困難なた
め、やむを得ず行うものをいいます。
・いずれの解雇をする場合でも、「解雇予告」が必要で、少なくとも30日前に予告す
るか平均賃金の30日分の予告手当を支払わなければなりません。労働者の責めに
帰すべき重大な事由がある場合は、労基署に「解雇予告除外認定」を申請し、認定さ
れれば、解雇予告手当を支払わずに即時解雇することが可能です。
なお、次の場合は解雇予告手当を必要としない。
① 日々雇い入れられる者
② 2カ月以内期間を定めて使用される者
③ 季節的業務に4カ月以内の期間を定めて使用される者
④ 試みの使用期間中の者(14日以内)

☆ 次のような場合は解雇できません
(1)業務上のケガや病気のため休業している期間及びその後30日間
(2)女働者が産前6週間、産後8週間休業している期間及びその後30日間